倍徳稲荷さん

昔、小さなお稲荷さんの祠を背負った男が、瀬加の谷へやってきました。「このお稲荷さんは倍徳稲荷さんと言って、

お供えをすると必ず明くる朝には倍になって戻ってくるという、ありがたいお稲荷さんだ。」と言いました。

 初めは誰も信じませんでしたが、ある人がそれでと一銭だけそぉーっと供えてみたところ、

明くる朝には二銭になっていました。他の人たちも真似をして、二銭、三銭、と供えました。

すると、みんな倍になって戻ってきました。それを聞いた欲の深い男が、一円を供えてみました。

明くる朝には二円になっていました。喜んだ欲深男は今度は十円を供えました。

でも、次の日の朝早くにってみると、お供えした十円はどころか祠さえ見あたらず、

男もろともドロンして、何処にもいなかったそうです

 

【ぶらり市川散歩道 133ページ 倍得稲荷さん】