金の薬師如来像 笠形山伝説

むかし、孝徳天皇の頃(六五〇年頃)金色に輝く薬師如来像が、笠形山の頂上に現れました。

像の身長はわずか五センチほどですが、発する光はすさまじく、曽根・大塩・高砂・明石方面まで照らしました。

 この光のために周辺の海は魚が全く捕れなくなってしまい、漁師たちは大変困っていました。

ところがある日、熊野権現が笠形山に現れ、草木を集めて薬師如来像を隠すと、光がとまったそうです。

 その後、像は金蔵山(加美町)に飛び立ち、そこで安置され人々の尊敬を受けました。

 当時は、笠形山の至る場所にお堂が築かれ、山全体が聖地として修業の場となっていました。

いまでも山の奥深いところに、建物の礎石や古い壺の破片などを見つけることができます。

 

【ぶらり市川散歩道 169ページ 金の薬師如来像笠形山伝説】

 

※加美町は現在の多可町加美区です。